和裁士からの伝言板

和裁士の「はたる」です。一級和裁技能士が着物や和裁のあれこれを綴ります。

作った袖を解説します!

先日の競技会で作った袖が返却されました。

作っている最中はちゃんとできているのかどうか、よく分からない状態だったので改めて見てみました。

 

 

デデン‼️

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全体はこんな感じです。

 

今回の審査項目は

・袖口

・口下、袖底

・丸み

・振り

の4項目。

それぞれ100点満点で採点されます。

僕は審査の経験はありませんので、審査員の方々がどのように点数を決めているかはわかりません。

もちろん人によってどの様な事を重視するのか、何を基準としているのかは違ってくると思います。

今回は僕がどの様に感じたかを書いていきます。

それに加えて、どの様な事に注意して仕立てているのかも書いていきたいと思います。

 

まずはパッと見た感じですね。

フワッとモフモフでエアリーはダメ🙅‍♂️

余分な厚みを感じさせず、平面に近い出来上がりが良いです。

袷の袖なので、表袖・裏袖、口布があります。

口布がある部分は物理的に厚くなるわけですが、それをできるだけ感じさせない方が良いのです。

丸みの部分も縫い代が重なっていますが、その厚みも無い方が良いのです。

全体を見て厚みが少なく一定だと綺麗に見えます。

それと、きちんと四角いかどうか。

歪んでいてはいけません。

ではもう一度、デデン‼️

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うん、厚みに関してはまぁまぁ。

歪みは、

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おぅ、ちょっと歪んでます…

審査でこの様に物差しを置いて確認する事はありませんが、分かりやすいように置いてみました。

物差しが無くても歪みは分かりました。

口と振りの縦方向に縫いが入っている所は縮みやすいです。

振り側は問題無いですが、口側が少し縮んでいますね。

中央部分も何故か歪んでいる…

全体としては可もなく不可もなく。

 

では、細かく見ていきましょう。

 

袖口

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やはり少し縮みがあります。

厚みは無いですね。

気になるのは、

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この辺りの出吹(でぶき:表地から飛び出している口布の部分)の太さが少し揺れています。

躾で出吹の太さを決めるのですが、コテを当てた時に失敗したなと思いました。

あとは、
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この部分。

写真では分かりにくいですが、なんだかフワッとしています。

縫い代が突っ張っているのが原因です。

構造上の問題で、縫い代が突っ張るのは仕方ないのです。

縫い代をコテでしっかり伸ばさないといけないのですが、伸ばしきれていません。

地味に難しい所です。

 

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袖口の山(1番上の部分)はこの様に折れ曲がっています。

袖口だけではなく、2枚以上の布が一緒に折れ曲がっている場合は外回りの布と内回りの布が存在します。

折れ曲がった状態で違和感なく綺麗だという事は、真っ直ぐにするとこうなるという事です。
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内回りの布に対して外回りの布が長くないといけません。

縫う時は真っ直ぐの状態なので、袖口の山の部分だけわざと表地が長くなるようにして縫います。

 

裏から見るとこの様になっているのですが

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口布の下のラインが前袖と後袖でズレていますね。

口布の縫い代分だけズラしてあります。

口布がある部分と無い部分では当然厚みが違います。

もし同じ位置にしてしまうと、厚みが急激に変わってしまいます。

ズラす事により厚みの変化を緩やかにしています。

 

出来上がった時に平面になるように、色々な工夫が施されています。

 

口下・袖底

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この袖口のすぐ下の部分はめちゃくちゃ難しい所です。

詳しい説明は省きますが、構造上かなり無理をしているのです。

真っ直ぐに出来上がってほしいのですが、ポコッと膨らみやすいですね。


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この袖口から下の数㎝。

少し歪んでいます。

うーむ、難しい。

縫っている時に上手く出来ているかどうかが良く分からなくて、表返して初めて分かる。

そこから直すのは時間的にキビシイので一発勝負。

難しい…

 

袖底で気になったのはここ。

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この角の所‼️

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後袖が飛び出している(;´д`)

コテの仕上げでなんとか直そうとしましたが直りませんでした(◞‸◟)

縫いが悪いんですよね。結局。

ちょっとだけなんですけど、こういう角は目立ちます。

 

丸み

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丸みは綺麗に円の1/4を作り出さないといけません。

丸い部分そのものはまぁ良いのですが、直線部分との繋がりが良くありませんでした。

口下から丸みに入る部分が歪んでいます。

丸みを絞る時に使う型紙と布の位置がズレたと思われます。

 

 

よくある失敗は、

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直線部分が90°にはならずに広がってしまう。
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丸みに膨らみが無い。

縫い曲がり、型紙の置き方、絞り方が失敗の原因になります。

 

振り

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振りは真っ直ぐで袖巾が前後揃っていないといけません。

まぁまぁ真っ直ぐ。

袖巾は前後揃っています。

 

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裏袖の控え(ひかえ:表地よりも狭くなっている部分)も揃っていないといけません。

ん〜、微妙…

 

振りの1番下はこの様に折れ曲がります。

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袖口の1番上の部分と同じ事ですね。

外回りと内回りが存在しますから、表を長くして縫ってあります。
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袖口とは違い、横方向にも縫い目があります。

折れ曲がった時に内側にある裏の袖底がちゃんと収まるように、裏の袖底の位置をほんの少しだけ上にズラしてあります。
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袖を仕立てる時の注意点や、今回の仕上がりについて解説してみました。

綺麗に仕立てるためにどんな工夫がしてあるか、少しはわかっていただけたでしょうか。

仕上がりについては、大きなミスは無かったが細かいミスがチラホラチラホラ…

うーん、普通(。-_-。)

前回にも書いた様に、普段とは大きく違う環境での作業はなかなか100%の力を発揮できません。

80%の力が出せればまずまずです。

本番で満足できる仕上がりにするには練習で120%の力を出せるようにしておかないといけません。

今回は練習不足でしたね。

この様な競技に向けてでは無くても、普段からもっと向上心を持って作業をしないといけないなと痛感しました。

良い機会を与えてもらって感謝です。

年齢と共に体力や感覚など全てにおいて衰えます。

何も感じずに進んでいたら、それは確実に下り坂。

常に頑張る事でやっと維持できる。

そういうものですよね。

 

 

 

袖、難しい。

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あいち技能プラザ50周年記念イベント

愛知県技能士会連合会の主催で毎年「あいち技能プラザ」というイベントが行われています。

今年は50回目という節目の年でした。

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という事で、今年は50周年記念イベントとして「プラザコロシアム-絶対技術を競う-」という競技会が開催されました。

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5つの種目があって、その中の「和裁  袖仕上げ」に参加しました。

 

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まさかこんな大きなステージが設置されるとは思っていませんでした( ゚д゚)

写真は日本料理の大根かつら剥きの審査中。

和裁はテーブルではなく、もっと低い作業台を使って座った状態で作業をします。

ギャラリーが沢山の中での競技。

参加者は8人。

前列4人、後列4人の配置。

場所決めはジャンケン✊✌️✋

その結果、ビリから2番目(T ^ T)

前列の1番下手側でした。

 

競技内容は、袷の右袖をヘラ付けから仕上げまで。

制限時間は1時間。

 

普段とは違う環境で作業するのはとても難しいです。精神的に。

いつもと同じ様に作業をしているつもりでも、何故か上手くいかない事は普段からあります。

ほんの少しの精神の揺れが、目には見えないレベルで作業に影響を与えます。

大きなステージで、隣には知らない人がいて、ギャラリーに見られながら、会場の様々な音が聞こえる。

普通の精神状態では無理です。

 

という事で、最初(?)の35分は手が震え続けてました((((;゚;Д;゚;))))カタカタ

 

いや、メンタル弱過ぎ…

丸み絞りが終わって表返したあたりでやっと震えが止まりました。

ほぼ縫い終わってますよね。

口布がかなり堅くて、縫い始めでいきなり動揺してしまったのもいけませんでしたね。

 

修行中は競技会や試験が何度もありましたからある程度は慣れていましたが、一級国家検定の試験以来、約9年振りにいつもとは違う環境で作業をしたわけです。

仕方ないと言えば仕方ないのかもしれないけど、いや、ホントにメンタル弱い(;´д`)

 

 

で、結果は…

 

 

 

 

見事に1位獲得しました٩(ˊᗜˋ*)و✧*。

 

ほら!見て!

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副賞も!

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あ、今回はただの自慢話です。

 

 

2位とは本当に僅差でした。

もう一度審査をしたら順位が入れ替わってもおかしくないくらい。

3位とは少し差が開きましたが、3位の人は競技中に電源トラブルでコテが冷めるというアクシデントがありました。

会場内の和裁ブースで使っていたコテを急いで用意したそうですが、3分は作業が中断したのではないかと思います。

作業中の予期せぬ3分の削減はかなり厳しいと思います。時間的にも、精神的にも。

アクシデントが無かったらどの様な結果になっていたかは分かりません。

 

1位という結果は運が良かったから。

本当にそう思います。

 

 

後日、50周年記念祝賀会がありまして、そこで表彰していただきました。

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羽織袴で行ってきました✨

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正直言って、こんなにしっかりと表彰していただけるとは思っていませんでした。

組合から賞状が届いて終わりかと思っていた(^_^;)

県知事賞。がっつり愛知県からだった。

良かった、1位になれて。

愛知県はものづくりに力を入れていますからね。

 

こんな感じに作品展示もありました。

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僕のお袖はこれです。

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技能士会は工業系が多いという事もありますが、祝賀会で着物を着ていたのは和裁組合の人だけ。

やっぱり着物は目立ちますね👘

特に僕は羽織袴で表彰を受けたわけですから、1番目立ったはず✨

やっぱり着物は良いねー!

日本男児は袴だねー!

似合ってるよ!

と、褒められました(≧∇≦)

 

襦袢と着物は貰い物で、羽織はめっちゃ安い反物で、袴は新古品なのはヒミツ💕

 

着物は貰い物だけど、1度解いて仕立て直したんです。

自分には寸法が合わなかったから。

やっぱりこういう所が着物の良い所ですよね✨

しっかりした紬だからまだまだ使えます‼️

 

という事で、次回は競技で仕立てたお袖を詳しく見てみようかなと思います。

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男袴の丈直し

今年の初めに購入した袴の丈が長かったので直しました。

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本来なら着物を着た状態で確認するべきなんですが、帯を仕事場に持って行くのを忘れてしまいました(-_-;)

 

以前穿いた感じだと3〜4㎝短いと丁度良い気がしました。

 

この袴は馬乗袴という形状で、脚が左右に分かれています。

左右に分かれていなくて、スカート状の袴は行燈袴と言います。

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ぱっと見は馬乗か行燈か分かりません。

裾をめくると分かります。

 

ヒダを広げると片脚でこの位です。

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ぐるっと170㎝位。

かなり深いヒダを作るので沢山の布を使っています。

 

今回短くするのは3㎝程なので、裾を切ってしまいます。

裾を切らずに直すとなると、前紐と腰板を外して付け直す事になります。

しかも投げを折り直さなければなりません。

ものすごく時間がかかってしまいます。

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図のように、腰板の高さを下げると腰巾が広がってしまいます。

でも腰板の巾は変えられません。

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投げの角度を変えて腰巾を腰板に合わせる必要があります。

めっちゃ大変。

 

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裾のくけ代に沿って切り落としました。

 

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1㎝程の三つ折りになっていて、赤ラインで切り落としたので3㎝程切り落とした事になります。

この後同じ様にくけ付ければ3㎝程短くなるわけです。

 

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左右とも切り落としました。

 

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この様になりました。

 

今回は少し短くするだけだったので裾を切って済ませましたが、もっと短くする場合や長くする場合は前紐と腰板を外して直さなければいけません。

裾には縫い代がありませんので、長くする場合は上に縫い代があるかどうかの確認も必要ですね。

 

26日にこの袴を穿いて出掛けます✨

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今年の目標は「毎月着物を着る」でした

残念ながら10月は達成できず。

12月もちょっと分からないなぁ。

年末は仕事が混み混みになるので。

でも、いつもの年よりは沢山着る事ができました。

ツイッターのフォロワーさんが誘ってくれたりしたので機会が増えました。

有難い事です。

 

昨年の春過ぎに、もっと着物を着ようと思いました。

着物を仕立てているのに、着る事をあまり知らないなんてダメだなと思ったのです。

 

着物は日本の衣服だし、カッコいいし、着ると楽しいですよねー、知らんけど…。

 

いやいや、これではダメでしょ(;´д`)

 

作った製品の使い方よく分からないとかありえない。

 

何枚か反物を買い足し、仕立てて、機会があれば着ました。

新年会とか、囲碁とか、研修会とか、囲碁とか、飲みとか、囲碁とか。

 

で、分かった事がありました。

着物を着るという事が解ってない…。

 

こんな状態で「みんな着物を着ましょう✨」とか言っていたのか、アホだ。

 

着物を着るという事はなかなか難しい。

着る事自体が難しいというより、自分に合う着方を見つけるのが難しい。

しかしながら、それが楽しかったりもする。

ピシッと着るのか、緩く着るのか。

色柄をどうしたいのか。

そういう事を含めて「着る」という事で、難しくもあり楽しくもある。

その難しさや楽しさを解っていない事すら分かっていない状態だったのです。

今は少し解った(・∀・)

 

自分が着る事すら解っていないのに、人様の着物を仕立てているのもなんだかなぁと思いました。

しかも、仕立てた着物を着る人との接点がほとんど無い。

自分の仕事の結果が分からない。

これでは良いのか悪いのかの判断ができない。

 

もっと着て、もっと着ている人と接点を作っていきたい。

着る物を作っているのだから、着る事を理解していきたい。

来年はさらに飛躍できるように頑張ります。

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自分に合う身巾を考えよう

着物の身巾はどの様に設定しているか分かりますか?

今回は自分に合う身巾がどの位なのか、基本的な考え方を書いてみようと思います。

 

※1.寸法の設定方法は人それぞれです。僕の方法で書きます。絶対的な正解は無いと思ってください。

 

※2.ほとんどの人の場合、身体の1番太い部分はヒップなので、今回はヒップを基準に身巾を考えます。

 

予備知識その1  後巾

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この部分が後巾です。

身八つ口の下から裾まで真っ直ぐが基本です。

 

予備知識その2  前巾

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裾の巾を前巾とします。

基本は抱巾に向かって1㎝狭くしています。

衿先と同じ高さでは0.6㎝程狭くなります。

バストによって抱巾をどの程度狭くするか、あるいは狭くしないのかを考えます。

今回は計算を簡単にする為に、前巾と抱巾は真っ直ぐ同じとして考えます。

 

予備知識その3  合褄巾

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衿先の高さでの衽巾の事です。

ヒップの高さと同じ位の位置になります。

 

着物はどの様に身体を包み込むのか

これが分かっていると理解が深まります。

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言われてみれば当たり前ですが、そうでなければなかなか分からない事だと思います。

右衽と右前身頃は重なり部分となりますから、

後巾×2+前巾+合褄巾

これで身体をぐるっと包み込んでいる事になります。

 

ヒップから必要な身巾を考える

まずヒップを測らなければいけませんが、その前に考えるべき事があります。

着物の寸法を出すわけです。

着物が包み込むのは生身の身体ではありません。

襦袢を着た身体を包み込むのです。

ですから、襦袢を着た状態でヒップを測るのがベストです。

下着の状態で測るなら+2〜3㎝の数値を記録しましょう。

包み込むという事は外回りを回るという事ですので、着物の身巾はヒップと同じではいけません。

ヒップより4㎝位広いと丁度良くなります。

ヒップが90㎝の場合は94㎝が良いので、

94=後巾×2+前巾+合褄巾

という計算式になります。

 

持っている着物の身巾と計算を比較してみよう

上の計算式が分かっていれば、着物の身巾が自分に合っているかどうかがある程度分かります。

人によって着る時の癖や体型に違いがあるので、着やすいと思う着物の身巾を測って計算と比較してみてると良いでしょう。

古着を買う時の参考になるかもしれません。

 

各寸法の割り振り

後巾、前巾、合褄巾の振り分けですが、定番数値がありますので、それを基準に考えます。

 

       後巾         前巾       合褄巾        合計

       31.1         25.4         15.2        102.8

       30.3         24.6         14.5         99.7

       29.2         23.5         14.0         95.9

       28.4         22.7         13.5         93.0

単位は㎝です

 

❇︎お詫びと訂正

上記の表の「合褄巾」を「衽巾」と誤表記しておりましたので2020年1月18日に訂正いたしました。

混乱を招いてしまい申し訳ありません。

 

よく見る数値を挙げてみました。

中途半端な数字が並んでいますが、尺貫法をメートル法に換算しているためです。

例えば、ヒップが94だったら身巾の合計は98位が良いわけです。

上から2番目の数値から1.7少なくなれば丁度良い。

全体のバランスを変えないようにするには、

後巾0.4、前巾0.4、衽巾0.5を減らします。

0.4×2+0.4+0.5=1.7

この分だけ減らせば良いという事になります。

 

これは、あくまでも基準です。

肩巾、バスト、お腹よりお尻が大きい、お尻よりお腹が大きい、歩く事が多い、座る事が多いなど、様々な事を考慮してバランスを考えます。

 

 

 

どうだったでしょう?

計算が苦手な人は眩暈がしたかもしれませんね(~_~;)

次に着物を出した時に身巾を測ってみてください。

着易い着物、着難い着物を比較してみると面白いかもしれません。

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男単長着を男単羽織へ仕立て替え ラスト

羽織の衿は長いです。

長着の場合は褄下がありますから衿はそこまでで良いのですが、羽織は身頃の一番下まで衿が必要です。

通常は(羽織丈+30㎝)×2の長さで裁ち、衿先の縫い代は12〜15㎝位です。

今回は長着からの仕立て替えです。

長着にはそんなに長い布はありません。

なので、衽の布を縫い合わせて羽織の衿にします。これなら長さは大丈夫です╭( ・ㅂ・)و̑ グッ

 

さて、ここでお伝えしなければいけないのが衿の構造なのですが、

なのですが、

んが、

非常に複雑です(´-﹏-`;)

これ、誰が考えたの?マジで天才‼️

と思うくらい複雑です。

マニアック過ぎるのでサラッと読んでください。

 

羽織の衿巾は通常、女物で5.7㎝、男物で6.4㎝なのですが、布を細く切ったりはしていません。

地巾を全部使っています。

38㎝位の布を折って、折って、折りまくって衿巾にしています。

通常の衿折りはこうです。

 

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細かくなってきたので拡大
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この形状で身頃に付いています。

わかるかな?

わっかんないだろーなー。

自分でも本当に正しいかどうか怪しい(´・_・`)

仕立て上がった時に見えるのは、図の1番手前の1枚と、1番奥の1枚だけです。

布のほとんどが衿の内側に入り、衿の芯になっています。

羽織を持っている人は衿を触ってみてください。

かなり厚みがあるはずです。

衿先の部分は、丈方向の縫い代も入っているのでパンパンです。

 

今回は羽織の衿は長着の衽で作るので半巾分しかありません。

これではしっかりした衿になりません。

本来なら長着の本衿と掛衿が余っているので、それも縫い合わせて丁度良い状態になります。

 

しかし、今回は袖に割りを入れたために本衿も掛衿も余っていません。

そこで今回は黒い新モスを使うことにしました。

衿が出来上がった時はこの新モスの部分(本来なら本衿と掛衿の部分)は衿の内側に入ってしまうので見えなくなります。

布の厚みを考慮して、新モスの巾は控えめにしました。

実際に作った衿はこの様な構造になりました。

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先ほどの4枚目の写真と同じ段階の図です。

比べると布の量がすこし少なくなっています。

 

衿付け

衽を繋ぎ合わせた部分は丁度中心になるように付けました。

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赤矢印が身頃の背中心で、青矢印が衿の接ぎ目です。

着る時はこの部分は半分に折って着ます。

意識して見れば分かりますが、そうでなければ気付かないと思います。

 

袖付

男物の羽織の袖付は長〜い。

 

完成!

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ぱっと見では長着から仕立て替えたとは思わないでしょう。

袖の割り入れも目立ちません。

長着としては着ることが難しかった古着が仕立て替えることで羽織に生まれ変わり、活用することができるようになりました٩(ˊᗜˋ*)و✧*。

 

4回にわたって長着から羽織への仕立て替えをご紹介しました。

状況に応じて仕立て方を変化させます。

それが可能なのは直線に裁ち、縫い代を残しているからです。

これが和裁なのですよ✨

 

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