和裁士からの伝言板

和裁士の「はたる」です。一級和裁技能士が着物や和裁のあれこれを綴ります。

腰は身体の要

様々な職業があり、それぞれに職業病の様なものがあるかと思います。

 

和裁士はほとんどの場合は床に座布団を敷いて座って作業をしています。

テーブルに椅子で作業をしている人もいるとは思いますが、床に座って低い作業台の上で作業をした方が速いと思うのです。

 

そうなると体勢は正座かあぐら。

正座だと膝が痛い。

あぐらだと腰が痛い。

男仕立て(かけはりを使わずに足の指で布を掴む)だとさらに腰が痛いらしい。

多くの和裁士は腰や膝の痛みに悩まされているのでは無いでしょうか。

 

僕はかけはりを使ってあぐらで作業をしています。

前屈みになる作業が多く、しかも僕は猫背なので腰への負担が大きく、腰痛に悩まされています。

意識して良い姿勢を保とうとするのですが、気付くと背中が曲がってしまっています…

 

腹筋、背筋、インナーマッスルを鍛えるべきなのでしょうが、トレーニングとか嫌いだし…

いやいや、そんな事も言っていられないんですよね。

腰を痛めて和裁から離れたという話も聞いた事がありますからね。

 

さて、お題にあるように腰は字のごとく正に身体の要であると実感した事があります。

あれは和裁を始めて4年目でした。

 

家で座布団に座ってテレビを見ていました。

あぐらで。

微妙に座布団の中央からズレて座っていて違和感がありました。

普通に座り直せば良いのに、あぐらの状態のまま体に反動をつけて飛び上がり、下半身をクイッと横に動かして座布団の位置を修正しようとしました。

このクイッの時に僕の腰は松井秀喜のフルスイングと正面衝突をしたようです。

両手をついて _| ̄|○ この状態から動けません。

1㎜も動けません。

もっと楽な体勢を、とかそんな事では無い。

少しでも動かしたら次は中村剛也あたりがやってくるでしょう。

時間をかけて横になり、朝までそのまま。

次の日にヨチヨチと病院へ。

電車の加速・減速が腰を脅かします。

 

病院へ行ってもすぐに治るわけもなく。

レントゲン撮って、MRIの予約して、湿布薬をもらって、痛み止めをもらって、安静にと言われ。

安静に。

無理。

だって1週間後に全国大会(´;ω;`)

 

1日休んで次の日から練習再開。

 

しかし、コテが、持てない…

前屈みで物が持てないのです。

持ったものは手で支えて、その手を支えているのは腕で、その腕を支えているのは肩で、その肩を支えているのは上半身で、上半身を支えているのは腰でした。

 

腰さん、今までずっと頑張ってくれていたんだね。

それなのに、あんな体勢のままジャンプしてクイッて、ゴメンナサイ…

 

正に身体の要。

ここがダメになると全てがダメになると言っても過言ではありません。

和裁は普段の作業で腰に負担がかかる職業。

せっかく身につけた技術も使えなくなっては意味がありません。

先生に言われました。

和裁も「心・技・体が揃わなくてはいけない」と。

身体のケアも仕事のひとつです。

プロならばしっかり意識しなくてはいけませんね。

 

その2年後。

後ろにあるティシュの箱を取ろうと体を捻った時に中村剛也がやってきました…

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