和裁士からの伝言板

和裁士の「はたる」です。一級和裁技能士が着物や和裁のあれこれを綴ります。

和裁士が着付け講師と出会ったら その3

僕は着物を着る人に知識を持っていただきたいと考えています。

それは着物を着る人にもメリットがあり、和裁士にもメリットがあります。

 

先日、僕の後輩(和裁1年目)が浴衣を買いに呉服屋さんに行きました。

単の着物を持って帰ってきました。

何故なのか…

単の着物を勧められたそうです。

本人も納得して買ったのでそれは良いです。

○○ガードの加工がしてあるから洗えると言われたそうです。確か絹と化繊の交織。

そのガードの事をネットで調べたら、スレに強いガードだと分かりました。しかし縮まないとか洗えるという表記はどこにもない。

10㎝四方で切り出して水に浸けて乾かしました。

丈方向で9.2㎝まで縮みました。

8%です。

身丈150㎝が138㎝に縮みます。

洗えません。

仮に、水通しがしてあって洗っても問題の無い着物だったとしましょう。

付属品としての背伏せ・裏衿・居敷当は正絹でした。

洗えません。

この様な事が普通に起こります。

 

知識を持つ事でこの様な事を防ぐ事ができます。

勧められている物が妥当なのか、理にかなっているのか。

残念ながら呉服屋の店員さんが必ずしも着物に詳しいわけではありません。

売ることを重要視するあまりお客様の不利益に繋がってしまう事もあります。

それを防ぐには買う側が知識を持つ必要があります。

 

買う側が知識を持つと、売る側はテキトーな事はできなくなります。

買う側に選ばれる事になるわけですからね。

買う人が満足できる着物を提供しなければいけません。

反物の質、それに対する適切な価格、そして適切な仕立て。

これらを重要視する事になります。

そうなると仕立て屋も選ばれる立場になります。

やはりテキトーな仕事はできなくなります。

だから買う人にとって適切な着物が提供される。(着る人のメリット)

この動きが今の着物業界に足りない、僕はそう考えています。

 

僕の立場からすると、この動きが起きてほしいのです。

選ばれる立場になるという事はしっかりと見てもらえるという事。

現状では和裁士の技術が理解されていません。

適切な評価を受けていません。

本来なら呉服屋さんに評価をしていただきたいのですが、仕立て上がった着物をしっかり見る事もなくお客様へ渡す場合が多いのではないでしょうか。

これでは和裁士の、和裁の技術の地位が低いままです。

しかし、上記の動きが起きれば我々の地位が上がるはずです。(和裁士のメリット)

 

着る人に対して「教える」という考えはおこがましいと言われたことがあります。

え?なんで?と思いました。

僕は趣味で囲碁を打ちます。

プロやインストラクターに教えてほしい。

色々な定石・打ち方・考え方を知りたい。

そうすれば自分の中に選択肢が増える。

選択肢が増えれば自由度が高くなる。

それは単に楽しい。

囲碁業界も着物業界と同じ様な問題を抱えています。

その問題も分かるし、プロやインストラクターの思惑も分かる。

でも、囲碁ファンとしては提供された技術や知識で自分が楽しめればそれで良い。

着物が好きな人にもそうであってほしい。

和裁の事だけでなく、着付けの事、織りや染め、柄、家紋、歴史…

それらの知識を使い着物を最大限に活用してほしい。

僕が着る人に知識を持ってほしい理由は、楽しむ要素を増やしてほしいという事でもあります。

おこがましかったらごめんなさい(◞‸◟)

 

着物って、蚕を育てる事から始まり、糸にして、織って、染めたり柄を入れたりして反物になって、仕立てて、それを人が着る事で完成なんだと思います。

分業制で、沢山の工程があって細分化されています。

着る人にとってより身近な部分は「販売・仕立て・着付け」ではないでしょうか。

初心者でも避けられない部分です。

つまり、着る人・呉服屋・和裁士・着付け講師の関係性はとても重要だと思われます。

「その2」の僕のメモに、着付け講師と和裁士はwin-winでなければ成り立たないと書いてあります。

それと同じ様に、着る人・呉服屋・和裁士・着付け講師の関係性も、全てが「win」でなければ成り立ちません。

対等な立場でなければいけないのに、今はそうは思えない。

その原因は各々の知識不足であり、さらにその原因は希薄な関係性。

着物は分業制で、着て完成。

だから着る人も含めて繋がって、知識を共有するべきではないでしょうか。

対等になり、尊敬し合う事でみんなが盛り上がる。

その様な関係を築いていきたいと思うのです。

 

右往左往しましたが、やっと辿り着いたこの部分が僕の本当の目的です。

目的達成の為にはまず繋がる事が必要です。

 

同じ目的を持って

和裁士と着付け講師が出会ったら…

とりあえずライブ配信しちゃったよ٩( ᐛ )و

着る事に対して「着付けの工夫」と「仕立ての工夫」があって、着る人に合わせた提案の幅が拡がりそう。

 

同じ目的を持って

和裁士と着る人が出会ったら…

着付け講師と呉服屋が出会ったら…

呉服屋と和裁士が出会ったら…

 

同じ目的を持つ人と積極的に出会っていきたい。

 

 

 

同じ目的を共有してくれたあやさん。

僕達の目的を理解して協力してくれたすなおさん。

本当に感謝しています。ありがとうございました。

これからも繋がり続けていけたら嬉しく思います。

 

 

 

最後になりましたが、あやさんとすなおさんの紹介です。

 

あやさん  一級和裁技能士

ツイッター  

@ayanokmnfk

仕立てた着物を見させていただきました。

とても丁寧に綺麗に仕立てられていました。

お話をして、この人は和裁が好きなんだなぁ(*´∇`*) と感じました。

ツイッターに運針・折ぐけ・本ぐけ・ぐし躾の動画がアップされています。

和裁が分からない人でも✨すごい✨と思うはず。

是非ご覧ください。

 

すなおさん  着付け講師

ブログ  

https://kimonoshake.jp

YouTube  https://www.youtube.com/channel/UC9_jyB4wC3UXiZG7Zn9WKSA

ブログや動画で着付けや着物の扱いなどをとても分かりやすく説明されています。

着物を着るのは難しい…と思う人も多いでしょうが、一度すなおさんの動画を観てください。

コツを教えてくれているので本当に分かりやすいと思います。

ブログの自己紹介は必読です。

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