和裁士からの伝言板

和裁士の「はたる」です。一級和裁技能士が着物や和裁のあれこれを綴ります。

着付け講師すなおさんへの敵対心

久々のブログのタイトルが不穏…

 

すなおさんの動画で僅かながらですが助言をいたしました。

そうしたら、このブログを紹介していただけるようで、ありがたやありがたや…

ですので、今回のブログはすなおさん所から来ていただいた方が多いかと思います。

 

それなのにタイトルが不穏…

 

すなおさん?誰?

という人はこちらをご覧ください。

ブログ  

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和裁士の仕事はミリ単位

僕達は指定された寸法や、お客様に合うように割り出した寸法の通りに着物を仕立てます。

既製品では無い限りちゃんとその寸法にします。

部位にもよりますが、数ミリ違えば「違う寸法」という感覚です。

数ミリがどの位かというと、身丈は長いので5ミリ以内、他は2ミリ以内の誤差で仕立てます。

細かい部分だと織糸レベルで気になります。

 

着付けも習いました

着物はもちろん着てナンボ。

当然、着る事を前提で仕立てます。

という事は、どの様に着るのかを知っていなければ良い仕立てができません。

なので着付けも習いました。

浴衣や小紋はもちろん、留袖、振袖も習いました。

さすがに「今やれ!」と言われても無理ですが、どの様に着るのか、綺麗に着るためにはどの様な仕立てをするべきなのかを学ぶ事ができました。

 

すなおさんの動画を知る

すなおさんはタンスに眠っている着物や、アンティーク着物を活用できる様にするために様々な工夫を凝らした着付けを動画で紹介しています。

着物を着る事へのハードルをできるだけ下げようとしているわけですね。

それはすなおさんからも直接聞いたので分かっています。

寸法が違っていても、補正は少なく抑えて着る。

着る。

とにかく着る。

着ちゃうんですよね、すなおさん。

着る人に寸法が合ってなくても、着物と襦袢の寸法が合ってなくても、着ちゃうんですよ。

ショックでした。

いつも頑張っているミリ単位の仕事を否定された気持ちになりました…

 

自分が習った着付けを振り返る

着る人の身体に合う着物で、着物と襦袢の寸法も合っている、そういうものでの着付けを習っていました。

そういう着物を仕立てているので当然ですよね。

身体に合う着物、それが正義であり絶対的である。

この感覚が意識する事もなく染み込んでいました。

ある種の職業病かもしれません。

 

すなおさんへの敵対心

すなおさんのTwitterのフォロワーも、you tubeの登録数もどんどん増える。

この着付けが拡まると自分達の仕事の価値はどうなってしまうのか…

敵対心、というのは大袈裟かもしれませんが、似た様な物は抱いていました。

昨年の夏にライブ配信をした時も。

もちろん分かっているんです。

自分の身体に合わせて仕立てた着物を着る事と、そうでない着物を着る事は意味合いが違うという事は。

頭では分かっているんです。

今までに自分の中にはあまり無かった価値観を見せつけられて、自分達の仕事に対する自信が揺らいだんでしょうね。

すなおさんの着付けの工夫も、もちろん人柄も素晴らしく、だから敵対心というよりは畏敬の念という表現が的確かもしれません。

 

自分達の仕事の価値を感じる出来事

個人のお客様から仕立てのご依頼がありました。

後藤和裁に来ていただき、色々お話を伺いました。

着物を持ってはいるが、身巾が広い様で少し着難い。一度自分に合う着物を仕立ててみたい。

との事でした。

お手持ちの着物を着るとどこが着難いのか、普段の着付けはどの様にしているのかなどを聞きながら採寸。

そこから寸法を割り出し、お仕立てしました。

とても着易かったと言っていただき一安心。

その後、同じ方からお手持ちの着物の身巾直しのご依頼もいただきました。

わざわざ直さなくても着る事はできますが、着易い着物に高い価値を見出したという事なのでしょう。

もちろん直すためにはお金がかかりますが、そのお金は自分達の技術に対する評価だという事です。

救われた、報われた、確信した。

そんな気持ちでした。

自分の身体に合わせて仕立てた着物を着る事と、そうでない着物を着る事は意味合いが違うという事なのです。

 

選択肢を増やす 良し悪しは委ねる

意味合いが違うと書きましたが、

 

⚪︎着付けで工夫する

・安価で済む

・工夫する事が必要

・着難い部分が生じる

 

⚪︎自分に合わせて仕立てる

・高価になる

・1番着易い

 

大雑把に言うとこの様な違いがあります。

この違いはそれぞれの特徴です。

単体で考えて「良い・悪い」があるでしょうが、総合的に考えた上でユーザーにとって「良い・悪い」が変わってくるはず。

「好き・嫌い」でもあるだろうし「合う・合わない」でもあるでしょう。

一人ひとりのユーザーにとって「良い特徴」が違うのは当然で、それは提供側が決める事では無いですよね。

多くのユーザーにより良い選択肢を選んでいただく、その為にはより多くの選択肢があった方が良いはずです。

すなおさんが提供するものと僕達が提供するものは違う選択肢なのです。

前述の通り、こんなことはすなおさんに会う前から分かってはいたんですけどねー(;´д`)

 

必要の無い敵対心は捨てましょう

すなおさんの着付けで迷走し、お客様の声で自信を取り戻し、なんともまぁ脆弱な精神だなと思ったわけですが、何はともあれ自分に出来る事を誠実にやる事で他には無い特徴を確立すれば良いという結論に至りました。

これも最初から分かっていたけれど、改めて実感したという感じです。

これは同じ業界の人や同じ様な職種の人に対して抱きやすい感情なのかもしれません。

相手が完全なる敵という場合もあるでしょうが、各々の特徴を冷静に分析してみれば敵対する事は無く、むしろ協力する事でお互いの特徴を伸ばす事が出来るかもしれません。

様々な特徴が生まれればユーザーの選択肢も拡がり、それが新規ユーザーの獲得にも繋がるでしょう。

同じ和裁でも、手縫い・ミシン併用・海外縫製など色々あって良いし、同じ着付けでも、あっさり普段着・ガッツリ補正・和洋折衷、用途に合わせて気分に合わせて使い分けてもらえれば良い。

僕達は自分が提供出来る選択肢の質を高めてアピールしていけば良い。

 

そう思える様になった自分エライ(゚∀゚)

 

 

アピール大切‼️

はたるのTwitter

@va_hataru

後藤和裁のHPも見てね。

https://gotowasai.jp

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