裄も袖巾も問題無いのに振りが出る原因
ツイッターでこの様なアンケートを実施しました。
途中経過ですがご覧の通り8割の人が経験しているようです。
想像以上に多くて驚きました。
裄も袖巾も着物と襦袢との兼ね合いが悪くは無いのに、一体何が原因で振りが出てしまうのでしょうか。
考えられる原因は2つあります。
1つ目、襦袢の袖に丸みが無い。
これは単に着物の丸みの内側で襦袢がつっかえてしまっているだけです。
着物の丸みが大きいほど振りが出やすくなるでしょう。
襦袢の袖の角を折り曲げてください。
2つ目、着物と襦袢で胸元の巾の兼ね合いが悪い。
これが非常に厄介です。
襦袢と着物を重ねて、着たような状態にしてあります。
この着物と襦袢は寸法が合っています。
袖付けの所に赤マチ針があります。
その高さと同じ衿付け(今回は衿付けに来ていますが、袖付けの長さや衽下りの長さによっては衽付けになります)の所の青マチ針までの巾は22㎝です。
袖付けの高さでの前巾が22㎝という事です。
襦袢の衿が2㎝程出ているのがわかるでしょうか。
実際に着るときは衿巾を折りますが、これは置きやすくする為にそのままにしてあります。
衿巾を折ったとしても襦袢の衿は同じ位出てくるでしょう。
程良く半衿が見える事になります。
着物の衿をめくってみました。
青マチ針が着物の衿付けの位置でした。
黄マチ針は袖付けの高さでの襦袢の前巾です。
着物に比べて2.5㎝程広くなっています。
衿巾自体は襦袢の方が狭いので、この部分での襦袢の巾がしっかり広くないと着た時に半衿は見えなくなってしまいます。
襦袢の巾を狭くしてみました。
襦袢の衿が見えていません。
見えていませんね。
この状態で着物の衿をめくってみました。
青マチ針を見ると、襦袢の巾は5㎜程しか広くなっていません。
袖付けの高さでの前巾が襦袢>着物でなければいけません。
その差は2㎝以上です。
そうでなければ振りが出てきます。
何故振りが出るのか、見てみましょう。
半衿を見せる為には襦袢の衿を内側に引っ張らないといけません。
内側に引っ張りました。
襦袢の衿が見えています。
振りの部分をアップにします。
振りが出ています。
袖付けの部分から振りが出ています。
半衿を見せる為に「袖付けの高さと同じ高さ」の『衿を内側に引っ張った』ので、「袖付けの高さと同じ高さ」の『身頃も内側に引っ張った』事になり、当然「袖付の高さ」で『袖を内側に引っ張った』事になります。
袖全体を内側に引っ張ったようなものです。
振りが出ます。
裄や袖巾の問題ではなく、袖付の高さでの前巾の問題です。
この様な事を防ぐためにどうしたら良いのか。
古着を買う場合
自分のベストサイズを確認してください。
お手持ちの襦袢と着物で、自分の身体にも合うし、襦袢と着物も合うという組み合わせを探して巾を測ってください。
裄、袖巾に加えてこの部分の巾を把握しておくと良いと思います。
古着を買う時にその寸法を参考にしてください。
誂える場合
やはり自分に合う襦袢と着物の組み合わせを探してください。
着物を誂える場合はその着物を、襦袢を誂える場合はその襦袢を見本として渡し、同じ様に仕立ててほしいと伝えてください。
なかなか気付きにくい事だと思います。
着物と襦袢を組みで仕立てる場合は必ずこの巾を確認しています。
この問題が発生してしまった場合の対処法は、現時点では僕には分かりません。
着付けの先生にも聞いてみますが、良い方法があれば教えてください。
宜しくお願いします。